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どこにしまってあったのか分からないが、どこからともなく、何枚もの板チョコを取り出し、瞬時に溶かす。
人間の身には理解できない力があるのだろう。
そして、チョコを無造作に落とし、ある程度体をコーティングしていく。
まるで、チョコレートの彫刻のようだ。
そして、飲み込めない口に、ドロリと流し込む。
『こんなおいしくないものを欲しがるなんて、人間の男ってバカね。身体を重ねた方が、極上の食事ができるのに』
そう言いながら、彼女は旅立っていく。
次の獲物を求めて。
人間にとっての壁など、異種族の女にとってはないのと同じ。
するりとすり抜けていく。
隠していた翼を実体化させ、颯爽と空へと飛び立っていく。
靡く美しい髪を翻して。
次は、もっと楽しめる獲物だといいと願いながら、空から強い欲望を捜すのだ。
『恵まれない全ての獲物たちにHappy Valentineを』
彼女の作るバレンタインの悪夢は、また更なる犠牲者を作ってゆく。
幸せに満ちた死への誘い、官能的で美しい死を。
あなたは迎えたいと思いますか?
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