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「私は、君のこと、好きだよ」
息切れの中、途切れ途切れに耳元で耳元で囁く。
ああ、なぜ君はーーーー
「僕もだよ」
ーーーーなぜ君は、こんなにも愛おしいのだろう。
僕は無意識に。無意識に彼女の唇と僕の唇を重ねていた。よく小説や漫画なんかでは数秒間が数分にも思えた。なんて表現がよくされるけど、僕にとってその一瞬は本当に一瞬の事だった。
唇が離れ、お互いの顔が少しずつ離れていく。目が暗闇に慣れたのか、彼女の顔が見えるようになった。彼女と目が合って、数秒間見つめ合った。お互いの気持ちを確かめるように。
そして、僕は嗤った、自分の異常性を。
これが僕にとってのファーストキスだ。きっと、この先ずっと忘れることはないだろう。僕らはお互いに、互いの異常性を受け入れた。お互いの愛と信頼を首を絞め、絞められる事によって確認した後に、お互い人生で初めての口付けを交わす。
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