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半狂乱になって言葉の最後にはヒステリックに叫んだトウサの声はコオリを後ずさりさせるには充分な迫力を持っていた。
誰もがトウサに声をかけられないで彼女を見詰めるしかない中、もう一人の指名者である具貫がゆっくりとトウサに近づいた。
「折中、心配するな。このゲーム、必ず攻略ができるはずだ。それになにかあったらこの私が助けてやる。教え子を見捨てられるほど私は器用じゃない」
具貫の思いやりの篭った言葉に、トウサになにも声をかけてやれなかった周囲の同窓生たちやコオリは、少なからずとも自らを責めた。同時に、具貫に対する信頼感がさらに増したといってもいいだろう。
「グッチ……」
そしてそれはトウサにも言えることだった。
『はーやーくぅ~! ねぇ、はやくしてよー! ねぇ、ねぇってばぁ~~あん』
詰まら無さそうに王様がスピーカー越しに催促し、具貫は真っ直ぐにトウサを見詰めるとひとつ頷き、それに背中を押されるようにしてトウサは立ち上がった。
「……コオリ、ごめん。さっきは変なこといって」
「いや、俺も……なんか、悪ぃ」
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