chapter.2 『ディスイズ ア ハンマー』

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 具貫に対する信頼感で正気を取り戻したトウサは、すれ違いざまにコオリへ言ったさきほどの発言を詫びた。 「マツリのことお願い」  去り際にそう言い残したトウサに「わかった」と返すと、苦しむマツリの枕元へ入れ違いにしゃがむ。 『ぱんぱかぱんぱんぱーあーん! では、お互いにぃ左手をぉ~~セットしちゃいましょうねぇ~』  ステージ上に上がった二人は、左手を金具に置く。それを見届けたスーツのスタッフが金具の干渉するおなじみの音を立てて、二人の左手を固定した。  そしてテーブルの中央に置かれたカードホルダーにトランプを設置し、スタッフはその場を離れた。 ――ステージに上がっても、あの連中がいる限り下手なことは出来なさそうだな……。  テーブルクロスの隙間から、ミハルがステージの様子を伺い状況を整理しながら、この会場には一体何があるのか、情報を集めている。 ――クソ王様があそこで俺らより高い場所にいるってことは、コソコソとなにかを作ったり細工をするのは難しいな。人数もたかだか20名強……誰がなにしててもすぐに見つかる。俺がここに隠れてられるのも奇跡に近い。こればっかりはコオリに感謝しなきゃ、……だな。
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