chapter.2 『ディスイズ ア ハンマー』

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『あっぱれハンマーゲェーンム! スタートゥ! ひゃっはー』  一人だけやたらとテンションの高い王様を除き、静まりかえる会場。全員が、具貫とトウサを見守っていた。 『カードドロー! 俺のターン! ……って分かるひといる? いるよね? ウケたっしょ?』  発言するたびに余計なことばかりを喋る王様を無視し、具貫とトウサは同時にカードを引いた。  裏返したままのカード。その横にはハンマー。 『ドッキドキしてきたっすなぁ! じゃあ、カードオープンしてみましょ!』  ヒートアップしてきたのか、王様は時々声を裏返して実況をする。  具貫とトウサ。  二人の心臓はろっ骨を割って飛び出しそうなほどに胸を打ち付け、鼓動がひとつ鳴る度に血が噴き出しそうな緊張感に包まれたまま、ゆっくりとカードを返した。 『おおっ! 出た!』  二人は同時に息を止め、自分の数を確認するとゆっくりと相手のカードに視線を転がしてゆく。ずっとずっと、自分の視線がカードに辿り着かないように……。
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