chapter.2 『ディスイズ ア ハンマー』

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 笑うような状況ではないはずなのに、ミハルは短く鼻で笑った。この男は昔からこう言った窮地に目がないのだと、コオリだけが知っている。 『はい、前座終わりー! みんな見た? やっぱ匠は違うねー、とっても芸術チックに殺すんだもんねー! 見た? あの市崎きゅんのバラバラ具合。レゴでもあんなバラバラにならないお。ぅお、ぅお』  パッと元の明るさに戻った会場に、腰を抜かす人間や言葉を失う人間たちの光景が広がり、これが現実のことなのだともれなく全員に知らしめ、これから始まるというおぞましいゲームからも逃げられないという絶望感だけが漂う。 『あ、携帯・スマホ。使っていいよ~、そ・の・か・わ・り! 見つけたら死刑ッ!』  携帯・スマホと王様が言った瞬間、全員がその存在を忘れていたことに気付いた。だが、直後に王様が言った『見つけたら死刑』と言う言葉に制止され、誰も取り出せない。
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