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マイクを持っていない方の手を高く挙げ、くるりと回って観衆に向いた王様は掲げた手を閉じ、人差し指だけを立てた。
そしてそれを勢いよく下ろすと、真っ直ぐ一人を指差す。
『グッパチ先生ぇ~!』
王様が指名したその瞬間、会場中が水揚げられた稚魚群の如くざわめきだった。
「わ、私……だと!?」
『あれ? なに驚いちゃってんのグッパチ先生ぇ。散々自分でフラグ立てといて指名されたら『私だと?』はないでちょ? あら、もしかして敢えて目立つことで『逆に指名されない』を狙った感じ?』
具貫は王様を睨みつけると「いいだろう。やってやる、お前のような奴には負けない」と言い放った。
『なに言っちゃってんの? 俺と勝負するんじゃないっての。あんたの生徒と勝負すんだよ……相手は誰にしちゃおっかな……、えっとこんなときこそスマホアプリ!』
指を指された具貫の周りから同窓生たちが離れ、円を描くように具貫は中央に仁王立ちしている。それに構わず王様は取り出した自らのスマホをいじりはじめる。
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