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「で、その次が二人きりの残業かな」
「まだ続きますか。久我さん、お代わりは」
「ええと、きみが飲んでるのは何……」
「角のストレートですよ」
「じゃあ、それ」
「矢島くん、部長に角のストレート」
「はーい、わかりました」
「今度は上司を既婚女性にしよう。彼女と未婚の若手社員数人が一緒に残業をしている」
「ウチには女性の部長はいませんよ」
「まあ、いいから、いから。で、夜も遅くなって若手男性社員が一人去り二人去り、やがて最後の男女二人になり残業終了。頑張って働いてくれた若手社員を労い、女上司がお酒に誘う。上司に誘われれば部下は従うしかないわけで」
「今の若い子たちは違いますよ。結構平気な顔をして断りますから」
「そうか。では、次のシチュエーションは出張だ」
「ですけど、そのケースだと疑われるのは玖珂さんご自身ですよ。海外出張に部下の女子社員を連れて行くじゃありませんか」
「参ったな。月島さんはぼくを疑うの」
「まさか。可愛いお嬢さんたちの写真も拝見していますし」
「月島さん、はい、これ」
「ああ、矢島くん、ありがとう。玖珂さん、お酒ですよ。ええと、お水は持って来なかったみたいだから、必要ならば、わたしのをどうぞ」
「ありがとう」
「まだ、ありますか」
「順番からいけば、次はプライベートな相談となるが、まあいいや。月島さんを口説きたくなった。この会が終わったら二人で何処か行かないか」
「明日は休みだし、いいですよ」
「じゃ、決まりだな」
だが、その最後の行き先がホテルになろうとは、あのときわたしは思いもしない。
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