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そんな攻め方は初めてだったので、わたしが身を捩らせると、
「今日はアナルも開発してみようかな」
と玖珂さんが愉しげに呟き、わたしの不安を増大させる。
「玖珂さん、あの……」
「月島さん、今日きみはぼくの性奴隷だ。ああ、口に詰め物をしないと……」
「やだ、玖珂さん、怖い……」
「どんどん怖がりなさい。それがすぐ快感に変わるのだからね」
とまるで子供をあやすような口調で言う。
わたしの心は動転したままだ。
だから、もしかしてさっきわたしがあんなことを口走らなければ、玖珂さんは用意してきたロープを使わなかったのではなかろうか、と勘ぐってしまう。
自分に不倫を思い出させたわたしに罰を与えるために久我さんはこんなことを……。
それから玖珂さんはベッドから離れ、先ほどの言葉通りに白い絹のハンカチらしきものを持って戻ってくる。
それを怖がるわたしの口の中に詰め込むと秘所への攻めを再開する。
玖珂さんのペニスはまだ勃起していない。
けれども白いハンカチで口を塞がれたわたしに、その手助けはできない。
「また忘れた。目隠しをしないと。慣れてないとダメだな」
「ふがふがふが」
わたしは玖珂さんに奪われた声で、もう止めてくれ、と懇願する。
けれども玖珂さんは聞く耳を持たない。
いったいどうしたの、何が変わってしまったの。
わたしは驚きを繰り返すだけだ。
三度目の往復から戻ってきた玖珂さんはわたしにまずアイマスクを、ついでその上から黒い布をしっかりと巻く。
だから、わたしの視界から光が消える。
瞑った瞼の裏に見えるのは圧迫された眼球が感じるパチパチするような火花模様だけだ。
「では、始めますか」
と玖珂さんが宣言するが、わたしは、はい、と応えられない。
いつもはそうして両者同意のうちに行為が始まるというのに……。
玖珂さん、どうしたの、いったい何があったの、助けて……。
だが玖珂さんは応えない。
わたしの秘所を探るばかりだ。
ついで、わたしが驚いたことに……。
いつもより濡れている。
まだ始まったばかりだというのに。
だから、わたしは途方に暮れる。
けれども、それは単なる惑いではない。
つい先ほど玖珂さんが予言したように、この先わたしがこれまで味わったことがない愛の歓喜に咽ぶ姿が塞がれた両目に垣間見えたからだ。
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