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少女が玄関を開けると、一人の男が立っていた。雪に、土に、枯葉に塗れた緑のアウトドアウェアを身に纏っている。背中には薪のようなリュックサックを背負い、見るからに重そうだ。
「こんにちは。このような辺境の地に人とは珍しい。どうされたのですか」
少女は唄うような口調でそう問いを投げた。すると、目の前の男はボソボソと話し始めた。
「私はどうも、道に迷ってしまったらしい。持ってきた飯は遂に尽きてしまっているし、それに何やら吹雪いてきそうな気配だ。悪いが、今晩はここに泊めてくださるとありがたい」
少女はそれはそれは愛想の良い笑みを口許に浮かべて、労いの言葉を口にする。
「あらあら、それは大変でしたねぇ。外は凍えますでしょう。どうぞ、中にお上がりくださいな」
「申し訳ありません。ありがたい限りです」
男はそう染み入るように言うと、アウトドアウェアに纏わりつく諸々を払い落とし、招かれるがままに中へと入った。
先程少女が読書をしていた座敷へ案内されると、男はやっとこさ荷物を降ろし、疲れたとばかりに胡座をかいた。
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