第一幕 始の月

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雨が降っている、大雨だ。 そこに立っている1人の男がいる。 誰かを待っているかのように。 階段で上がってくる音が少しずつ聞こえてくる。 間違いなく1人の男に近づいている。 近づくと1人の男が喋りだした。 「待っていたよ、神崎ナキ。」 どうやらもう1人は男のようだ。 名前は「神崎ナキ(かんざき なき)」。 その男も喋りだした。 「ふっ…殺されるのを待っていたのか?」 「私が死ぬはずないだろう?神崎くん」 1人の男は不気味な笑みを浮かべながら神崎ナキに話しかけていた。 「舐められたもんだな…」 そう言うと神崎ナキは拳銃を取り出し、1人の男に狙いを定めた。 「いきなりだね…真相を知りたくないのかね?」 「俺にその権利はない、お前だけが持っていろ。その汚ねえ真相をな。」 「どうやら私たちは似ているようだね。」 「てめえに似るくらいなら死んだ方がマシだな。」 「殺りなよ?さあ。」 「じゃあな…」 神崎ナキは拳銃を握りしめ狙いを定める。 「天国に行け相棒。」 一発の銃声が鳴り響いた。 その瞬間、彼の華麗な人生は終わったのだ。 だが男は生きる、明けない夜から逃げ出さずに生きていく。 「SIREN」 それはたった1人の男だけが知っている真実の話。
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