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何か会話をしなければと、寺鷹の顔を見るのとほぼ同時――
「会場の外に異常は見当たりませんでした」
「へ?」
沈黙を破るように、唐突に言われ、変な声が出てしまう。
「怪しい動きをする連中も見当たりませんでした。まぁ……会場の外は雪が降っていましたから……。そんな寒いところで画策する酔狂な輩はいないってことなんでしょうね……」
そこまで言われて思い出す。
会場の外で、怪しい動きをする人物が居ないか、異常がないかチェックしてきて欲しいと寺鷹に頼んだことを。
「あ……。そう……か。それは……寒い中、御苦労だった……」
忘れていた罪悪感も手伝って、しどろもどろに答える私に――
「いえ……。貴女の御命令とあれば……」
寺鷹は優しく微笑む。
先ほどの険悪な空気はどこに行ったんだという変わりぶり――。
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