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わかってはいるんだけどね……
再度、ため息を吐く。
頭ではわかっていても、感情が理解している訳ではない。
それに……
何より、パーティーが苦手な理由。
探してしまうから――
“あの人”の姿を探して……この群衆の中から、声をかけられないかと期待してしまうから――
そんなことを考えている自分に自嘲ぎみに笑ってしまった時だった。
「思い出し笑い? アキラちゃんのスケベ」
聞き慣れた、からかいながらも親しみを込めた男の声――
振り返って確かめた先に居る人物――
「銀!!」
ネクタイを緩め、スーツをラフに着こなした粋な遊び人風の男――銀狼がニヤニヤしながら近づいて来ていた。
「なんであんたがここに居るの!?」
「いや、居ちゃいけないの? 落ちぶれてるとは言え、一応、貴族だからね? 俺? 招待状だって貰うこともあるのよ?」
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