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片手に持っていた、ビール瓶を軽く揺すりながら、銀狼が苦笑する。
銀狼――。
私の幼友達で、没落した貴族の息子――。
私が内務監査隊の副隊長に任命された時、一緒に入隊し、内偵の任務をかって出てくれた男――
最も危険かつ、重労働な任務を嫌な顔一つせずに彼はこなしてくれる。
おそらく、私の為に――。
友情の為に――
「あ、そうよね……。ごめん……。変なこと言って……」
謝る私に銀狼が明るく答えた。
「というのは嘘。ホントは頼まれたんだよね。ついてきてエスコートして欲しいって。ほら、アキラちゃんも知ってると思うよ? お父さんが輸入産業で有名な……」
「まさか……新田財閥の娘さん?」
「ピンポーン。新田さんとこの二番目のお嬢さん。すっげぇ可愛いの!! まだ十八になったばかりでさぁ~、もう、仕草が可愛くて初々しくて、たまらないんだよねぇ~」
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