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「なに、帰って来てほしいの?」
「帰れないんでしょ?」
心無しか責めるような口調になって、電話の向こうから笑う声が返ってくる。
「じゃあお前がこっちに来たら?」
「はっ?」
思わず口から飛び出したそれは、まるで喧嘩腰。
我ながらリアクションも可愛いげがなくて。
「あ、うん。今度、遊びに行くよ」
色々勘違いした恥ずかしさと一緒に、笑って誤魔化した。
「お前、ほんと可愛くねぇな」
だけど、聞こえてきた声は少し照れてるみたいに怒ってて。
電話ごしの声に、会いたくなる。
ポトスの緑が、まるい月を見てた。
私は、むき出しの根っこを水から引き抜いてみる。
end
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