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月子の両親は、小さいころに病気で亡くなった。
それは不幸な出来事だが、小さな田舎町に生まれた月子は、同居していた祖父母にそのまま、環境が変わることもなく育ててもらうことが出来た。
遠藤品奈とは幼稚園からずっと一緒の、月子の幼馴染だ。
品奈の家族とも家族ぐるみの付き合いがあり、月子の環境も説明するまでもなく知られている。
大学進学のときには、さすがに奨学金を借りたが、
品奈と同じマンションの一室に住むように助言してくれたのも品奈の両親だし、そのマンションの所有者も遠藤物産。
おかげで格安で借りることが出来ている。
感謝してもし足りないくらい、品奈のご家族には世話になっていた。
この上、就職までもやっかいになると思うと、月子少しは腰がひけてしまうのだが、品奈は、
「そんなの気にすることないよ。月子はもうすぐ、私のお義姉さんになるんだからね」
にっと笑う。
「輝にー、もう来てるって」
行こうと月子を誘って、図書館の入り口を指差した。
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