プロローグ(新月)

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白い頬にかかる銀色の髪。 細く尖った顎。 男は眉間にシワを寄せて、ギュッと固く目を閉じている。 「ごめんなさい、大丈夫ですかっ!」 月子が男の肩に触れると、 「痛うっ」 低く呻いた。 「怪我してるんですね、今救急車を……」 月子が身を起こして、肩掛けにしたバックからスマートホンを取り出したら、黒いグローブをはめた手が、月子を掴んだ。 大きな手だ。 月子の手首ぐらい、ゆうゆうと一周して、まだ余っている。 意識があるのだと、月子が慌てて目を向ければ、こっちを見ている男と目があった。 「!」 緑色の瞳。 あまり見たことのない、底のない湖のような深い瞳が月子を見ていた。
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