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御手水で手と口を清める。
12月の水は冷たい。
鳥居の前で一度頭を下げてから踏み出した一子さんは、おや、と首を傾げた。
自分の前を歩いていく男。
おそらく、式の参列者だろう。
服装を見れば分かる。
自分の娘よりは若く、かといって孫よりはずっと年上に見える。
何が、という訳ではない。
その男に何かが憑いているわけでもない。
だが、気になるのだ。
何かある。
もしや、自分が今日ここに来たのは、あの男が関係しているのではないだろうか。
一子さんは、そっと男の後ろを歩いた。
その男は、随分と背が高かった。
おそらく、娘の夫よりも、孫の晴樹よりも高いだろう。
男は、拝殿の前で賽銭を入れ、手を打った。
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