第1章

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「何もおかまいできませんが。」 「あらあら、よろしいんですのよ。こちらこそ、不意に懐かしくなってしまって。ここしばらくおじゃまもしておりませんでしたもの。ちょっとお詣りさせていただこうと思ってまいりましたんですよ。」 社務所でお茶をと促されたが。 「あら、私としたことが。そうね、今日は大安ですものねえ。」 どうやら神社ではこれから結婚式があるらしい。 その準備の様子を見て、一子さんは申し訳なくなって神主に詫びた。 「皆さんお忙しい時に来てしまって、許してくださいな。」 「ああ!どうか!四屋敷さんに頭をさげていただいては、私どもが皆さんからお叱りを受けます!」 宮司である年輩の神主が焦る。 一子さんは、お式の前に神様にご挨拶させてくださいね、と社務所の玄関から外に出た。
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