第1章

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「神社を出てすぐのところに、古いけれど美味しいケーキを出す喫茶店があるんですよ。そこでお話しましょう。」 男は、時計を見て、新幹線がどうのと言っていたが、尋ねてみると指定席というわけでもないらしい。 「でしたら、駅まで送りますよ。ええ、私、車で来ているの。運転は、若いものにお願いしているんですけどね。」 一子さんは、半ば強引に男を誘うことに成功した。 喫茶店は、他に客が2、3人。 一子さんは、男と向かい合って座った。 一子さんは、ベイクドチーズケーキと紅茶を、男はコーヒーを頼んだ。 一子さんは、結構甘味好きである。 「先に私のことをもう少し詳しくお話しておけばよかったのねえ。あなたをすっかり狼狽えさせてしまって。」 ごめんなさいねえと謝りながら、一子さんは自分の四屋敷の当主の立場を男に話した。 続く
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