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学校に向かうために、出て行った後だった。
下のほうから、黒い男が出てきた。
途端、心臓が握り潰されているような気がした。血の巡りが悪い気がして、自分の顔に手を当てる。いや、正確に言えば叫ぶのを抑えたと言ったほうが適切だろうか。
こいつは、この後どうしたのだろうか。
続きが気になって、画面を見る。まるでホラー映画を見ているときのように、手で目を覆った。ちらちらと隙間から、映像を見る。
男は小声で何か言いながら、座椅子に座り、マグカップとパンくずのある皿をキッチンに持っていった。それで戻ってくる。
その時、不鮮明ながら顔が見えた。
この男、瀬川 美樹(せがわ みき)だ。幼馴染であり、中学校の時の同級生で、同じクラスだった気がする。覚えていないとまでは言わないが、あまりにもはっきりしない。
口が力なく震え、頭を抱える中でも、現実は進む。私の知らないところで、だ。
彼はそのまま、座椅子に座った__座椅子? ぎょっとして立ち上がる。
その時、テーブルに足をぶつけたが、痛みよりも恐怖心が上回った。こいつ、ここに座って……! 恐怖が怒りにかわるのを、腹の底で感じていた。
__これを、なんとしてでも警察に見せに行こう!
そんな怒りに身を任せた原動力は一瞬にして、塵同然となった。男は、ゆっくりと後ろにある、押入れに入っていったのだから。
やけに背後の空気が冷たい。
気のせいだ気のせい。だいたい、こういうホラーなことって気のせいなんだから。
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