Side:A

6/9
前へ
/14ページ
次へ
 思いとは裏腹に、顔が青ざめていくのを感じる。まるで、悪夢を見ているような気がした。生きた心地なんて全くしない。  ……悪夢? 夢?   そうだ。きっとそうに決まっている!  希望的な推論はいつしかこうであってほしい、という思いにかわっていたようだった。 「夢なら……夢なら、夢ならばさっさと覚めなさいよおおおおお!」  パニックに陥(おちい)り、手あたりしだいに物を投げ始める。置かれている時計だったり、クッションだったり、ペン立てだったり、カバンだったり。  とにかく、この夢から覚めたかった。
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加