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眠たさと薄暗さで目を覚ます。
すぐ下で物音がするから、杏璃(あんり)が学校に向かう支度でもしているのだろう。寝返りを打ち、怠さを噛み殺すように顔をつねった。もう少し寝ていたい。昨日、彼女と同じ時間帯に寝たはずなのに物凄く眠い。
空気を吸えば、いい匂いが漂ってくる。
もしかして朝食だろうか。欠伸をしながら見てみると、パジャマ姿でお弁当を作っているようだ。時計を見るとまだ朝の六時半である。真面目だなぁ、と飽きれながら身を起こした。
事のいきさつはこうだ。
少し長かった電話によると、杏璃は悪質なストーカーにあっていて困っている。だから、彼女を助けるべく現れた。だから、ストーカーと思しき二人を見つけたりしたのだけれど、どうやら不正解だったらしい。
やはり、彼女はいたいけな女子高生である。
怖いのか、しきりにキョロキョロしたり、電話が着てびっくりしたり。あぁ、一刻も彼女の不安を取り除いてやりたい。その姿を見るたびにそう思っていた。
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