Side:S

3/5
前へ
/14ページ
次へ
 そうこうしているうちに、朝食と着替えを済ませたらしい。  不安げにぐるりと全身を使って、部屋のあっちこっちを見ると、小さく「いってきます」とだけ呟いて出て行った。  戸を開け、部屋を見る。  部屋は飲みかけのマグカップや置きっぱなしの食器があったり、脱ぎっぱなしのパジャマがあったり。まあ、とりあえず散らかっていた。  手のかかる彼女を持つと大変だ。  そう苦笑して、マグカップと皿を片付ける。  どうやら今日は、トーストだったらしい。パンのカスが、机にこぼれている。食器を洗いながら、彼女は今どうしているのだろうかと考えた。  ついでに掃除もしてしまおうか。いやいや、さすがに駄目か。世話焼きなのは認めるけど、他人のプライバシーを漁るのはポリシーに反する。
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加