Side:A

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 部屋に何かがあっては困る、とストーカーよりか泥棒用に部屋に一台、近隣の方に許可を貰って一台。  今日は、監視カメラをつけて初日。  説明書を見つつ四苦八苦しながら、ようやくカメラの映像を見ることができた。  まずはストーカーの現れそうな、玄関周辺。基本的に早送りにすればいい。何か不審な人物がいたら、ゆっくり戻ればいいのだから。  そう言い聞かせ、深呼吸を一つする。これで、これが証拠になればいい。警察も、それで動いてくれるだろう、きっと。  意を決して、再生ボタンを押した。周りなど見えないほどに、画面に意識を集中させる。食い入るように、画面を見つめていた。  しかし、驚くことに何もなかった。家の周辺を通ったと言えば、近所のおばあちゃんや主婦の皆さま。私の知らないところにある、ありふれた日常だ。  では今日は、ストーカーは現れなかったのだろうか。好奇心と興味半分で、部屋のほうの監視カメラも見てみることにした。これはリラックスしてもいいだろう。冷蔵庫からお茶を取り出し、再生ボタンを押した。  私が映っている。  黒髪のロングヘアー、気に言っているピンク色のパジャマ。思い切り寝坊したので、トーストにジャムというシンプルなものにした。ただ、あまりにも自分の姿が滑稽(こっけい)で恥ずかしくなる。顔が赤くなるのを感じながら、そのシーンを飛ばす。
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