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「……だいじょうぶ。温かかった。放して」
「そうか」
ニッコリ笑って高遠がぎゅっと腕に力を入れた。
えーー………。
いや、放せって言ってるのになんで。
つか、マジ顔が赤くなるって。
男友だちに抱きつかれたくらいで赤くなってたら変だろ。
「頬が赤いぞ?」
だからそういうこと言うなよ。コイツやっぱ無神経。
「寒さで逆に赤くなってんだよ」
「そうか」
そう言って、オレの頬に手を這わす。
ぎゃひっっっ!!!
何考えてんだ。マジ恥ずかしいって。
ああ、くそ。オレ、女子じゃなくってよかった。女子だったらもう、メロメロメロンパンだ。
ぶるぶると顔を振って手を外そうとしたら、今度は両手でほっぺたを包まれた。
「頬が、熱いな」
わかってるよっ!
「やめろ」
手首を掴んでぐいぐい引くけどなかなか離れない。
それどころか高遠の顔が近づいてきた。
高遠はすっと近づいたはずなのに、その間が妙にスローに感じられる。
ぐわっっっと全身の血が沸騰した。
しかも、高遠の手を離そうと掴むオレの手首をクンと嗅いで、
「やっぱり、いいニオイだ。河南に似合ってる」
って……。
うあああ………。
キ、キスされるかと思った……。
てか、手首嗅がれるのも恥ずかしい。
なんて思ってたら、首筋も嗅がれてしまった。
ゴクン……思わずツバを飲み込んだ。
多分、高遠にはその音が丸聞こえだろう。
恥ずかしい。
恥ずかしくて、高遠の手首を引き剥がす手に力が入らない。
っていうか、角度によってはマジでキスしてるみたいに見えるんじゃないかコレ。
え?ここ、イベントスペースだぞ?
ううっっ、ちょっと忘れてた。
くそっっ。
高遠め!おちょくりやがって。
「放せよ。はずかしい……」
本当なら怒鳴りつけてやりたいところなのに、ちょっとすねるような口調になってしまった。
「そうか。ごめんな」
ちっとも悪いと思ってなさそうな笑顔で手を離した高遠が、オレの頭をくしゅくしゅとなでた。
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