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「バカなところも可愛い」と言ったら、河南がスネてしまった。
バカを自覚し、気にしてたのか。
可愛いな。
フォローするように「どこもかしこも可愛い」と言ったけど納得していない。
本音なんだけどな。
そして黙り込んだと思ったら、スネた顔のまま「口説け」だなんてブツブツ独り言を言い出した。
何だこの可愛さ。
鼻血が出るかと思った。
河南を抱き込んで、猫っ毛にほおずりする。
頬は真っ赤で、ふれるとすごく熱くなっていた。
俺の腕の中で緊張しているのか、固まってなすがままだ。
頬をなでても、唇をつついても恥ずかしそうに目をそらすだけで、嫌がりもしなければ逃げもしない。
愛おしい、雑種ワンコ。
イェス!
可愛い可愛い。
頬にチュウをしたら手で押し返された。
でも、俺の腕の中から逃げようとはしない。
うんうん。
ギリギリまで俺の唇から逃げようとするから、もうほとんどベンチに寝ころんでしまっている。
俺にのしかかられて、ちょっと色っぽく見えなくもない状態だけど、エロい事しようって気にはならない。
可愛いワンコだからな。
可愛がりたい。
頬を撫でて首元をくすぐって……。
「ああ、もう、やだ、やだ!」
ベンチの上でジタバタ暴れるくせに、本気で逃げはしない。
羞恥に染まる河南はやっぱり可愛い。
首筋からは、雑貨屋で塗ったグレープフルーツ系の練り香がまだかすかに香っていた。
あ、口説くの忘れてたな。
それも、これも、河南が可愛いのが悪い。
ベンチに仰向けに寝転んでしまっている河南の両手を握ってグッと押さえつけた。
加減はしてるから痛くないだろう。
「河南、明日のサンドイッチ、いちごジャムとマーマレードどっちがいい?」
「え?……両方」
ジタバタしていた河南ががぴたっと止まった。
「チョコもいる?」
「えっっっチョコ????できるのか?」
「ああ、チョコペーストだけどな」
「まじで!」
「チョコもいる?」
「うん!」
「じゃ、チュウするから」
「は?」
ちゅ……。
んー。もうちょっと。
ちゅちゅ。
おお、無抵抗。
必死に目をギュっとつぶってる。
なんだその絶叫マシーンにでも乗ったような顔は。
ふ……。可愛い。
むちゅ…。
「河南……かわいい」
ん……この調子なら、好きなだけキスしても良さそう?
ちゅば……むちゅ……。
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