7-河南がジタバタしている

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「河南、お前が一歩踏み出したときから、こうなる事は決まっていた。俺は今日一日でお前の可愛さを知ったし、散々お前にカッコいいと褒めちぎられて、最高に気分がいい。今日という日を共に過ごしてくれたお礼を、これからずっとしてやる。河南……これからはお前しか見ない。お前のモノになってやる。望むだけ好きって言ってやる」 「…………はぁ……?なんだよそれ」 小さい声で不満を漏らす。 「『なんだよ』ってお望みの口説き文句だ。これじゃ足りないか?」 「た……足りないよ。『望むだけ好きって言ってやる』って……。まだ一回も好きとか言ってもらってないし」 ……そうだっただろうか? もう何度も言った気でいた。 仰向けで寝そべったままの河南の耳に口を寄せる。 耳にふわりと唇がふれた。 冷たいだろうと思っていたが、かなり熱くなっている。 「河南、好きだぞ?」 「はくっっ……なんだそれ。なんか……言い方が疑問系じゃなかった?」 河南の口にする不満が可愛い。 思わず『ふっっ』と笑ったら、耳がくすぐったかったのか、河南がビクンと首をすくめた。 可愛い。 悪戯したくなる。 けど、今日は我慢だ。 口説く前に悪戯したら、本気でふて腐れてしまうかもしれない。 冷たい風が吹いてきたので、握っていた手を放して肩を抱き、また口を付けるようにして耳に言葉を吹き込む。 「河南、可愛い。好きだよ」 「……」 「河南?好きだよ。好きだ。すーき。おーい。聞いてるか?」 「……き……こえてる……」 絞り出すような小さな声が聞こえた。 恥ずかしいのか、河南は両手で顔を覆っていた。 照れた顔を見たい。 手を握ったままにしておけばよかった。 「河南、お前は?……まぁ、好きだよな?」 「なぁんっだそれっ……自意識過剰」 「過剰か?」 「………」 さっきから、すぐ黙り込む。 顔を隠す河南の手を引きはがしてみた。 「なぁ、まさか好きじゃないなんて言わないだろう?」 「………」 覗き込むとサッと目をそらされる。 「わかってる。たとえ口に出さなくても、河南は俺の事、大好きだって知ってるから」 「ぁんだそれっ……んんぁむ……」 黙り込むか『何だそれ』しか言わないボキャブラリー貧困な河南の口をまたキスで塞いだ。 んちゅ……。 こんな公園のベンチでするには少し熱烈過ぎるキスだ。 多分、河南は気付いていないだろうが、さっきから数メートル先をウォーキングや犬の散歩をしている人が通っている。 しかし、俺のキスを受ける河南は、水が怖い小学生のようにぎゅっと目を瞑っているので、もうしばらくはバレないだろう。
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