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おかしい……。
なんでだ。
キスされて、しがみついて、半泣きみたいな声で高遠に『すき』とか言って……。
しかも夜とはいえ、結構人通りのある公園のベンチだったし。
つか、キスもありえないけど、完全に押し倒されたみたいな格好だったし。
ふれ合ってるところは温かいのに、ケツがすげぇ冷たくなってた。
『俺のこと好きだってわかってる』とか言われたけど、オレ高遠のこと好きとか思った事ないし。
でも高遠はオレのこと好きって言ってたな……。
オレをスキとか…………。
ウソくせぇ……。
あんな甘い目つきで好きとか言われたら、誰だって落ちるよ。
唇とかもうちょっとでヒリヒリしだすんじゃないかってくらいキスされたし。
まだなんかすれてるみたいなカンジがして、唇の先っぽがくすぐったいし。
だからオレだってなんかおかしな事になって……。
今も……手、つないで一緒に帰りながらドキドキしてるし。
どーしたらいいんだ?
「明日もあの公園で会うのにどんな顔して会えばいいんだよ」
「んー?俺は『河南大好きだ』って顔していくから、お前も『高遠大好き!』って顔して来いよ。あ、俺のプレゼントしたこの眼鏡も忘れんなよ?」
うが……。
心の声のつもりだったのに。
しかも、高遠の言うことがなんかバカップル臭い。
「『高遠大好き!って顔』って、どんな顔だよ」
高遠がオレの顔を無遠慮に覗き込んでくる。
「ん、今みたいな顔だ」
「そんな顔してねぇ」
「無自覚か。可愛いな河南。具体的に言うなら、今はちょっとすねたフリしてるのに、頬は緩んでて、目は甘えてる」
「うっっ具体的に言うなよ」
オレ、ほんとにそんな顔してそうだ。
「た、高遠のオ、オレのこと大好きって顔ってどんな顔だよ」
「ん?そりゃ、こんな顔だよ」
すっと肩に手を伸ばされて、さらに近くで顔を覗き込まれる。
うっっ……。
とっさに顔を背けた。
「なんだ?確認しなくていいのか?」
またキスされるんじゃないかって思ってしまった……。
いくら高遠でもこんな路上でキスなんかするわけないか。
てか、住宅街だ。もう暗くなってるとはいえ、ウチも、友達ん家も近いし、誰か知り合いに見られたら、超気まずい。
チラっと横目で高遠の表情を確認すると……。
「てめっ!笑ってんじゃねぇか」
オレのこと好きだとか言ったのもやっぱ嘘で、からかってただけかよ!
「ふ……それはしょうがないだろう?河南が可愛いのが悪い」
「何が可愛いだ。どう見てもバカにしてるだろ」
そう言うと、高遠がほんの一瞬だけ真顔になった。
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