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高遠はそう言うと、また頬にチュ……っとキスをし、タタッと離れて後ろ向きに歩きながら手を振った。
う……一回だけって言ったくせにぃ……。
しかも、高遠の遠ざかってく姿が街灯に照らし出されただけで、なんか絵になる……。
オレも小さく手を振りながら後ろ向きに歩く。
すぐに曲がり角だ。
ここ、曲がっちゃったら高遠が見えなくなる。
でも、あまりダラダラするとまたバカにされる。
後ろ髪を引かれる想いで角を曲がった。
借りっぱなしのマフラーをぎゅっと握ったのは無意識だった。
掴んだマフラーを顔に寄せてクン……と嗅ぐ。
高遠がオレにつけたクレープフルーツの練り香と高遠のフェラなんとかの香りがちょっとづつする。
鼻が慣れてすぐに香りはわからなくなったけど、オレは高遠のマフラーを口元まで覆うくらいしっかり巻き直して、夜道を暖かい気持ちで帰っていった。
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