2-河南はその足をそっと上げてみた

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って、思ってたのに。 ………。 …………………。 デートって何だ。 「今日はデートだな」 と言われた。 「は?何だそれ?」 オレの疑問に対し、高遠は小馬鹿にしたようにフンと鼻を鳴らした。 「中学生レベルの英語もわからないのか?日付を決めて会うことだ」 「え?……いや、し、知ってたけど?多分?けど、なんでこれがデートになるんだ」 「日時を決めて会っているからな」 ………。 う、まあ、そうだけど。 じゃあ、買い物の約束って言えばいいだろう。 デートとか言われると、なんか違う意味に思ってちょっと恥ずかしいじゃないか。 しかも、私服の高遠は圧倒的にオシャレでイケていた。 高遠といるとオレは、高校生のお兄ちゃんに街に連れてきてもらった中学生にしか見えない。 ただ隣に立つだけでちょっと気後れしてしまう。 なのにデートとか……判断不能なプレッシャーをかけてくるなよ。 しかも、 「想像通りダサイな」 強烈な一言を放って、そのままショッピングモールのなんだかオシャレな服屋に連れていかれた。 シャツ一枚五千九百円。高いな……。 色もポップで高遠のイメージとは違う。 と思っていたら、勝手に何枚か見繕ってオレにあてがってくる。 オシャレだけど、ちょっと可愛いシャツはオレが着ると子供っぽ過ぎないか? こんなの着た事ない。 けど、似合う……けどやっぱりガキ臭い。 てか、高いし買えねぇよ! ……と思ったら、高遠がチョイスしてるシャツはどれも価格が下がって二千円くらいのものだった。 あ、買えるかも? と、思った瞬間を見逃さない高遠の怒濤のプッシュに負けて、オレはそのシャツを買って、その場で着ていくことになってしまった。
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