2-河南はその足をそっと上げてみた

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シャツを羽織ったオレを見た高遠は、容赦なくオレのベルトを外すとTシャツをインしてスッキリさせてからシャツのボタンを留め、ちょっとバランスを見て再び一つボタンを外した。 高遠にベルトを外された時点で、オレはフリーズしてされるがままだ。 ズボンもちょっと腰履きっぽく直された。 コートのボタンは全部外したままで、中のシャツを見せている。 そして、高遠のマフラーをゆるく巻かれた。 コレいいのか?オレに貸すと高遠が寒いんじゃないのか? でも、さすが高遠。着こなし一つでガキ臭さがぐっと減った。 ちょっと……イイかも? 高遠には負けるけど『ダサイ』と一刀両断されるほどではなくなった気がする。 ていうか、メガネを買いに来たはずなのに服屋に直行って。 そのままじゃ並んで歩くのも恥ずかしいって思われてるってことだよな。 プレゼントするとか言ってたし。 そこまでかよ。 服屋から出て通りを歩きながら、ちらちらと店の窓ガラスに映る自分と高遠の姿を見た。 ……。 まあ、やっぱ、着替えて正解だったかな。 かなりムカついたけど、選んでもらえて助かった。 いっそフルコーデで一式選んでもらえたらこれから出かける時に困らなくて済むんだけどな。 ………。 って、あれ? ランチ? 眼鏡屋には行かないのか? 好きな食べ物は何か聞かれたのでカレーだと答えると、なんかすごく本格的なカレー屋に連れてこられてしまった。 こんなとこ入ったことない。 辛さも数字で示されてる。 一から十まであるから、よくわからずに真ん中の五辛にしたら、めっちゃ辛かった。 真ん中って普通中辛じゃないのか? 激辛な上に、慣れないスパイシーな本格カレー。 からい……ツライ。 食べられない……とか、かっこ悪過ぎるよな。 高遠は美味そうにキーマカレーを喰っている。 うう。オレもあっちにすれば良かった。 残すのヤダし、高遠、かわりに喰ってくれないかな……とか、ちょっと追いつめられすぎだオレ。 キーマカレーを食べ終わった高遠が涼しい顔でオレを見ている。 くそ。 イケメンは汗かかないってか? オレは一人汗みどろで、胃の中まで熱い。 どうにか食べ終わってぐったりと脱力するオレを、今度はニヤニヤしながら高遠が見ていた。 く……。やっぱムリしてたのはバレバレだよな。 恥ずかしい。 でも、新しいおしぼりを頼んで、汗を拭けと手渡してくれた。 こういうソツのなさがモテる理由なんだろうな。 親切にされて、嬉しいのになんかムカつく。 その後は、雑貨屋に連れていかれた。 あれ? 眼鏡は? 高遠は店内に所狭しと並んだオシャレな時計や変なジョークグッズを見ながらああいうのが好きだとか、これが変だとか……。まぁ楽しいけど? それにしても、狭い店内だからとはいえ、ちょっと高遠との距離が近過ぎる。 っていうか、ずーっとオレの肩に手を置いてる。 オレは肘掛けか。 高いところのモノに手出し、ぐっと伸び上がった高遠の胸元がオレの鼻先にふれそうだ。 あー。 コレ、さっきからちょっといいニオイがしてたのコイツか。 香水かなんかかな。 中性的でフローラルだけどさっぱりとしたニオイ。 ……ふあ……いいなぁ……。 って、いやいや、香水つけてるとか、やっぱチャラいよなコイツ。
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