恋の自覚

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 今朝雪掻きしたばかりなのに、もうこんなに積もってる……  滑らないようにアンジュをしっかりと支えながら階段を昇る。  築100年を超える古い造りの家は扉もかなり年季が入っていて、鍵を開けるのにもちょっとしたコツがいる。  錆び付いた扉を開けると家の中は真っ暗で、全く人の気配がなかった。  いつもは学生達で賑わうリビングルームが、クリスマスホリデーで僕以外はみな家族の元へと帰省している為、暗然としていた。  玄関マットで雪を払うと、革靴とジャケットを脱ぐ。  アンジュもそれに従って部屋履き用のブーツを脱いだ。  リビングルームのソファを通り過ぎながら指を指す。  「ここに座ってて。   今、コーヒー入れるから」

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