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深い眠りから意識が少しずつ覚醒する微睡みの最中……
アンジュの短く早く吐く苦しそうな呼吸の音で目を覚ました。
横を見ると、アンジュの顔が赤くなっている。
額に手をやると熱があった。
「さ、むい……」
そう言った彼女の身体はどんどん震えがひどくなり、大量の汗が滲み出ている。
「すぐ、病院に連れて行くから…」
僕はアンジュに僕のロングダウンジャケットを被せて、上から毛布でくるんだ。
自分もジャケットを着て、アンジュを横抱きにして立ち上がると彼女を抱いたまま廊下を走り、階段を転がるようにして下りる。
アンジュをリビングのソファに一旦おろし、ブーツを履き終えると再びアンジュを抱えて扉を開ける。
鍵をかけるのももどかしく、扉を閉めるとそのまま外へ飛び出した。
サラサラの雪が積もった階段をおり、近道を抜けて一番近くである国立総合病院を目指す。
いくらアンジュが細くて軽いとはいえ、雪の積もった中をスノーブーツで彼女を抱えて歩くのはかなり困難だった。
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