モノローグ ーアンジュの独白ー

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 長い冬が過ぎ、ようやく春の兆しが見え始めた4月。  私は、検査を受けるために久しぶりにあの病院へ行くことになった。  検査が終わり、病院を出たところで叔母は私の処方箋を受け取るのを忘れたことに気づき、病院に戻っている間、私は広場のベンチに座っていたの。  まだ冬の名残が残り、広場にはあちこちに溶けかけた雪が残っていたけれど、そこから覗く草は青々と生い茂り、タンポポやシロツメクサが咲いていて、春の訪れを告げていた。  そんな光景を眺めていると、遊歩道から誰か歩いてくるのが見えた。  そう、ルネがね、歩いてきたの。
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