第1章

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俺は、会社員だった頃の話をした。 そのときの後輩に招待されてきたこと、そこで初めて当時他の同僚からよく思われていなかったことやリストラの話が出ていたことなどを聞かされたこと。 ほとんど初対面なのに、俺は全部話してしまった。 俺が祖母ちゃん子だってことを差し引いても、何かおかしいとは思いつつ、告白が止まらない。 「・・・俺は、本当にここに来てよかったんでしょうか。当時、俺は何の助けにもなってやれなかったっていうのに。」 黙って俺の話を聞いていたお婆さんが、にっこり微笑んだ。 「いいんですよ。だって、あなただけお招きしたんでしょう、その方。きっと、あなただけが味方だったのね。」 「味方だなんて・・・俺は全然気が回っていなくて。」 「それでよかったんですよ、烏丸さん。」 「え・・・」
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