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「ああ、まぁねぇ」
俺は曖昧に頷いた。単に美醜、顔かたちだけで客観的にみるとね。
「まぁ外見整えてるヤツが多いからだと思うけど。お前だって見た目維持するのに微妙にエネルギー使ってるだろ」
矛先がこっちに向いた!
「これは維持だから。改変はしてない。化粧以外は」
女装なのに整えなかったら大変なことになるだろ!化粧だって言うほど濃くないんだぞ。まぁ素っぴんだったら男に見えるかもしれないけど…、もしかしたら。
「みんな何だかんだ言って結構補正してるヤツが多いし。その点アキは外見も年齢も正直申告のゼロ補正だもんね。それであんだけ可愛いんだから…」
結局デレてるじゃないか!
補正するしないも個人差がある。アキはジュンタの言葉通り見事な素のままだが、外見を飾ることに無頓着なタツルも全部素だと思う。だから容貌的には全くの普通レベルだし、身長も何せ五百年以上前の自分がプロトタイプだから、どうしても低めだ。恐らく当時の男性としては高い身長だったんだろうが。でもそこら辺も彼は全然気にしていないように見える。現代日本で外を歩いていて、思わず目が止まってしまうほど平均から外れていなければ構わないらしい。
あたしの場合は女装をそれなりに見せる程度の補正は許してほしい気がするが。でも、顔立ちはいじってないんだからね。全然!
あたしは思わず流れでジュンタを見る。一般的基準で言うと恐らく相当の美形であるが。
「…お前、補正ゼロなんだろ。多分」
「うん、特に何もしてないな。そのままだよ」
ヤツはあっけらかんと言い放った。やっぱりね。何てイヤミな男なんだ。金持ちの余裕、全て持ってる貴族の無頓着さ。好きになれないわ…。
ジュンタは引き引きのあたしの反応には気も留めずに、話をそのまま続ける。
「まぁ補正、修正だらけの集団の中では素のままのアキは必ずしも外見で目立つわけではないだろ。 だから最初こそタツルの関係で目立ったとしても、特に騒ぎ立てず相手にしなければだんだん沈静化していくと思ってたんだよね。あのケツの軽い遊び人の連中にアキの良さがわかるとも思えなかったし」
あたしもそう思ってた。あいつら好奇心で騒ぎ立ててるだけで、そのうち飽きるだろう、と。
「なのにもう三年も経つのに。何であいつら、なかなか諦めないんだろう…」
ジュンタは首を捻る。それは俺も聞きたい。
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