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「ヒツジ?」
「ヒツギよ、棺。人間が死んだときに出てくるアレよ」
「ああ……ヒツギって読むのかあれ」
ようやく装備品の「棺」が何て読むか分かった。
ゲームの世界じゃあ確かに、ゲームオーバーになったら棺桶は出てくるが。
……だとしたら、なんだ。俺はつまり
“棺桶に入った”
わけじゃなくて、
“棺桶になった”
……ってことなのか!?
「え、じゃあアンタ、死んでないの?」
「当然だ、むしろ俺はたった今ボスを倒して、これから王女様とベイビィ・フェイスをディ・モールトする予定だったんだよ!」
「なにそれ意味わかんない」
腕を組んだツインテ少女は、氷点下の視線を俺に投げ掛けた。
くそっ、そっちだって趣味の悪い魔王パンツだろうが。
「でも……だとしたらマズイわね」
「マズイ?」
「アンタが魔王を倒したんなら、そこから本来アンタが行くべき“城”に戻らないと、イベントは進行しないわ。
そうなると、次のイベントは発生しなくなってしまう……つまり、この世界は止まったままってわけよ」
「ほう、俺は時を止めたのか」
「棺桶のクセにカッコつけないでよ、棺桶のクセに」
「ふぐっ、2回言うな!」
だが。
「なあ、イベントが進まないって事は、俺の体は……」
「まずこのままだと元には戻らないでしょうね。もしかして、1度裏イベントがエンディングを迎えたら、読み込みが再度行われてシステムが正常に戻るかもしれないけど」
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