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ぐぬう。
つまり俺は一生、棺桶のままここにいなければいけないってことだ。
棺桶が死んだら棺桶に入るんだろうか。マトリョーシカみたいに。
「うう……リアル世界に未練はないが、まさかゲームの世界でもこんな最期かよ……」
「泣きゴト言ってんじゃないわよ、ホンット見苦しいわね」
ふっと少女の姿が消えた。
その直後、俺の体……棺桶が、少しずつ動き出す。
「おい、なんか動いてんぞ!?」
「トーゼン……でしょ、私が引っ張ってんだから……」
途切れ途切れに、頭の……いや、棺桶の上の方から少女の声が聞こえた。
「アンタが動けないなら……私が、行くしかない……じゃない」
「そんな……いいのか!?」
「別に、アンタの為じゃないわ……私はただ、元の世界に戻したい……だけ!」
「おお……ディ・モールト!ディ・モールト!!」
「うっさいデブ、薪にするわよ。どうしてこんなに重いわけ?」
……かくして、棺桶になった俺と、ツインテ少女の旅がここに始まったのであった。
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