第1章 さいきょうのそうび

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「……まじかよ」 これはもしかして、初期化というやつなのか。だったらマズイぞ。ちくしょう、これに費やした時間を返せ。 とりあえず、ヘッドギアを外して電源を入れ直してみるしかない。 えっと、ギアは…… …………ん? …………ない。 ないぞ。 つーか頭を触れない。 俺の手どこいった? あれ、足もどこだ? さっきから全然動けねえ。 「なんだよこれ、どーいう事だ?!」 すると俺の声に応えるように、真っ暗闇の中にコマンドが浮かび上がってきた。 ド○クエで言うところの、 電源を切りますか? はい いいえ みたいなコマンドだ。 ただ、書いてある内容が微妙に違う。そこには、 『視界』をオンにしますか? はい いいえ と、白い字で書いてあった。 つーことは、ここはまだゲームの中の世界らしいな。それにしたって、今までこんなコマンドなんて見たこと無かったんだが。 「はーいはい、最高に「はい」ってやつだァ!」 ぽちっとな。 カーソルは俺が喋ると、勝手に「はい」を選択した。 途端に、広々とした天井が見えてくる。 「…………知らない天井だ」 ま、これはお約束ってやつだな。 本気で知らない訳じゃない。つかここはさっきまで俺が戦っていた城の天井だ。 だとしたら、さっきのラスボス戦が終わった後で、俺はひとりで倒れて、ようやく目を覚ました設定なのか。 「うむ、まずは状況確認せんとな」 どういうわけか体は相変わらず動けんが、喋るだけでコマンド選択が可能だと分かった今、やることはひとつだ。
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