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「どーなってんだよ!?」
頭の中ではもがいてみるが、視界はさっきからびくともしない。夢の中でどれだけ動き回っても、実際の体は動いてないのと同じような感覚だ。
しかもヘッドギアをつけているっていう皮膚感覚もない。
現実世界から切り離されて、ここに取り残されちまったような。
「きゃはははははっ!死んでやんの!」
いきなり誰かの声がした。
視線を動かせないのが歯がゆい。
「あーあ、ばっかみたい!」
ダン!!
いきなり俺の目の前に、細い足が乗せられた。
いや、乗せられたって言うよりも、仰向けに寝ている所を誰かに踏みつけられたって言った方がいいか。
痛みなんかの感覚はないが、踏まれた衝撃で視界が小刻みに震える。
「なんっ…………ふぉう!!」
続いて目に飛び込んできたのは、まさしく「幼児ぱんつ」だった。
黒いツインテに、つんとした目付き。
ピンク色のパーカーと、ひだのあるミニスカートを履いた幼女が、腰に手を当てて、俺の腹がある辺りを踏みつけていた。
俺の視界の先には白いパンツ。
こいつは俺の事が見えてないのか、それともただの痴女か。目線は俺のことを見てるんだがな。
「あーあ、いつになったら勇者が来てくれるのかしらね」
ぐりぐりぐり。
黒いブーツみたいなやつで、俺の体を踏んでくる。
「おーい、聞こえてるか?」
試しに声を掛けてみるが、相変わらず反応はない。
「…………ふう、ホント退屈……」
ツインテ少女は溜め息を洩らすと、いきなり俺の顔面に座ってきた。
「ちょっ、ちょと待てっ!!」
……ぎゅむ。
画面一杯に少女のパンツが映る。
残念なことに、俺の好きな水色と白のチェック柄ではない。
……ないが。
真っ白なパンツの後ろには、達筆な筆の字ででかでかと「魔王」の文字が書いてあった。
「…………魔王?」
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