第3章 生まれて来なければ良かったのに

4/4
前へ
/52ページ
次へ
ヒカルの事は何も知らない。 と言うか、興味がない。 だって人は裏切るし、期待したら泣きを見るのは自分だから。 アオイはその事を中学時代に嫌と言うほど思い知らされた。 小学生の頃は良かった。 何も考えずに誰とでも遊べた。 それが急に見えない何かがみんなを縛りはじめ、ギクシャクし、バラバラにした。 正直に言って、アマレンジャーもそんなにハマッているとは思っていない。 友だちとよべるほど仲の良い人がいないから、待ち合わせ場所でタッグを組み戦えるのは都合がいい。 そういう意味では、ヒカルとは仲が良いのかもしれない。 でも彼女が何歳なのかも知らないし、どこに住んでいるのかも知らない。 もしかしたら、四十超えのオジサンかも知れないし、隣りに住む専業主婦のオバサンかも知れない。 「オチです!」 「ラジャー!」 多分、ヒカルはまだしばらく街を彷徨うのだろう。 アオイは一時間で画面から抜け出た。
/52ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加