第1章 正義は何処にある?

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週末を迎え数日がこんなにも長いとは思わなかった。 「出かけて来る!」 昼頃まで寝ているハヤトに母親は驚いた。 時計はまだ八時にもなっていない。 駅まで早足で十分。そこから片道二時間弱、見知らぬ町は随分と遠くにある。 東京にいて不自由を感じることがあるとすれば、豊富な情報と多彩な物欲をどうコントロールできるかだ。 例えばケーキを食べたいと思う。 方や十円の激安品があるかと思えば、店にさえ入れない高級店がある。 何もかもが複雑に分類されていて、自分という人間が何処に属するのか、否応なしに思い知らされる。 住んでいる街、通っている学校、親の職業に乗っている車。 平和は全てそれを土台に作られていた。 「は?」 改札で料金不足となった。 片道で千八十円。遠足なのかと見間違える金額だった。 「これで無かったら最悪だな」 ホームで下り電車に乗り、この先に待ち構える三度の乗り換え駅をもう一度、確かめた。 「御茶ノ水、秋葉原、守谷……。なんでアキバにないんだよ?」 ハヤトは早くもため息に襲われた。 とは言え、これも銀河に向かうためだ。 ウメちゃんやキタローには負けてられない。
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