第1章

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関わるなと言われたが・・・手紙くらいいいよな? 常連さんたちには、当分黙っておこう。 娘さんが来店したときは、かなり緊張して警戒していたみたいだし。 何より。 お婆さんは、本当にいい人だったから。 俺は、やかんを火にかけてお茶を入れると、便箋を取り出した。 「母!あの店主に会ったんですか!」 数日後、四屋敷の実家の一子の元に、娘の十子が突然やってきた。 手には、封筒が握られている。 「あらあら、あなたのところにも手紙を書いていたのね。律儀な方なのねえ。」 そういう一子さんの手元にも、東京の居酒屋店主からの手紙が届いていた。 それと、一緒に送られてきたらしい菓子箱が2つ。 「どうやら、1つはあなた宛みたい。あなた、県庁の住所しか知らせていなかったのでしょう?そちらに送るのもどうかと思ってと手紙に書いてありましたよ。本当に、あなたときたら、相手の方に失礼な。」 娘に、菓子が届いたことは、一子さんは連絡していない。 つまり、内緒にして2つとも自分のものにしてしまおうとしていたのだろうか。
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