七月十八日正午

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 なんでだ。  僕は夏休みの間中、考えていた。あれから何度も連絡をとろうと試みた。けれど、ことごとく留守電のアナウンスに切り替わるばかりだった。  テレビをつけっぱなした部屋で、膝を抱えて考え込んでいた。有名会社が赤字になったとか、ひき逃げ犯が捕まったとか、政治家が賄賂をしていたとか、そんな流れ続けるニュースを聞きながら堂々巡りを繰り返していた。  あの日、ずっと待っても来なかった。それが意味するところは。つまりは――フラれたんじゃないのか。  なんでだ。あんなに嬉しそうだったじゃないか。約束をしてからというもの、担任の先生の話の間も帰りの準備の時も、ちらちらこちらを見ては照れるように笑っていたじゃないか。
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