七月十八日正午

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 けれど飴を自己投資しすぎた僕は、もっと手短な方法に頭を占められた。  戻しちゃえばいいんじゃないか?記憶を。結構前になっちゃうけど。  僕は柚元の頭に手をかざして、どの時点に戻すかを吟味した。  もちろん僕に好意を持ってくれている時点でなければならない……あと、巻き戻した結果今度は誘いを断られるなんてのも嫌だから、OKした後の時点でなければ。  とすると、終業式の後から約束の日の昼までの間くらいかな。問題はどこで心変わりしたかだが……まあ、終業式の日の放課後ならまだOKした気持ちから転じていたりはしないだろう。  よし、決めた。戻すべき時間は、終業式が終わって帰宅したころ。七月十八日正午だ!  あとで記憶喪失沙汰になっちゃうけど、大丈夫。僕がフォローしてあげればいいんだ。だって僕は、柚元の……。  顔が笑みで満ち満ちていくのを感じながら、僕は柚元の頭に触れた。
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