七月十八日正午

4/24
前へ
/24ページ
次へ
 僕の言葉に、彼女は顔を輝かせた。 「ありがとう!あ、急がないから、暇な時でいいよ!」 「大丈夫。今すぐ直せるから」  僕は手にした鉛筆削りを、軽くこつんと机にぶつけた。そして手品でも見ているかのような顔の彼女の前で、自分の鉛筆を穴に差し込む。  しょりしょり……。  小気味いい音とともに、茶色い木の皮みたいなくずと黒い炭素のかすがこぼれおちた。 「す……すっごーい!直っちゃったの!?」 「中の刃がゆがんでたんじゃないかな。もう使えるよ」 「ありがとう!紙谷君に頼んで本当によかった!」
/24ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加