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ーーー
「なぁ聞いてるか?」
雨音:「…ぇ?」
「どうしたんだよそんなぼーとして…」
雨音:「そんなことないよ、」
「そうか?ならいいんだけどよ」
「………おい」
ーーー
漂う記憶に身を染めるのが怖くて、いつも慌てて現実に戻ってしまう。
「これ面白いんだって、」
「そうか?」
雨音:「…っねぇ!これから遊びにいかない?」
「…お、いいけど…どうした急に。」
「雨音が言い出すのって、珍しいだろ?」
雨音:「そう、かな?」
「ま、んなこといーじゃん!どこ行く?」
ーーー
幸せだ。
皆といる時間が、欠片も愛しいと感じる。
私はまだ、この幸せに浸っていたい。
そう、まだここにいたいの。
またこの幸せを手にしてたい。
それは皆がここにいるから。
…お願い、まだ私を一人にしないでよ…ねぇ。
ーーー
「…なぁ…やめようぜ」
「何言ってんだ、やるって皆で決めたろ。」
「でもこんなの…、間違ってる」
「じゃあ、お前は見てられるのか、雨音が、このまま………。」
ーーー
幸せでいたい。
皆がそろうあの場所に。
思い出すのはいつだってあの怖い夢ばかり。
それから逃げるように、私はまた幸せに浸る。
足を踏み出せば幸せな時に向えるから。
そう、皆がいたあの時へ、私は戻るのだ。
私にとってあの場所こそが私の現実なのだから。
ーーー
「…っ……」
「お前もいいんだな?」
「…おう…」
「…やるぞ、もう引き返せないからな」
不気味な暗い森のなか、1人欠けている皆で儀式を行い始めた。
友達だった、1人のために禁忌に手を出したのだ。
甦生の儀式だ。
ーーー
儀式が終わり気がついたときには皆、記憶がなかった。
何のためにこんな不気味な場所にいるのか。
何をしていたのか。
何もかもわからなかった、だけど直ぐに思い出した。
誰かを甦らせようとしたことを、混乱した。
だって、ここには皆が揃っているのだ。
大好きな皆が、だが、そのなかに死んでいた人間がいると思うと言い様の無い恐怖に襲われた。
甦りの儀式が成功し、嬉しくも悲しくも禁忌にはかわりない。
私たちは大罪を犯したのだ。
ーーー
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