第1章

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私たちは後悔した。 自分達の間違いに気づき、もとに戻そうとした。 甦った人をもう一度殺し、1人欠けたもとの世界に。 だけど誰が死人かわからない。 皆には死にそうになった過去があった。 次第に思い出していく記憶のなかで、ついに気づいてしまった。 私はあの日を、思い出してしまったのだ。 ーーー あのオレンジに染まる教室に2人。 「雨音、好きだ」 雨音:「…ぇ…」 「俺、雨音が好きなんだ」 雨音:「そ、…そんなこと………」 恥ずかしくて俯いてしまう。 「悪ぃ、困らせたい訳じゃなくて……」 雨音:「っ私、は………」 声を出したその時、廊下から声が聞こえた。 「おーい!!雨音帰るぞー!」 雨音:「!!」 「…雨音、行こう」 雨音:「…ぅん…」 ーーー いつものように皆で帰るオレンジ色の道。 赤くなった頬を隠すように俯いて歩く私。 皆の話なんて今の私には聞こえなかった。 その時、 「…おい、雨音!」 「っ雨音!!」 雨音:「…ぇ…?」 やっと聞こえた皆の声と、私に迫る車。 それは一瞬の出来事だった。 ーーー …そうだ。 そうか、私が死んだんだ。 どうしてもっと早く気づかなかったのかな。 私はあの車に退かれて死んだことに。 もっと早く分かっていれば、皆を疑って、傷つけたりしなかったのに…。 雨音:「…終わらせよう」 私が、この手で終わらせよう。 これ以上、皆に迷惑はかけられない。 そう思い立ち、私は儀式を行ったあの不気味な森へと足を踏み入れた。 ーーー 私が居なくて正解の、元の世界へ皆を返してあげなくちゃ…。 私が死ねば全てが終わる。 そう思って来たのに、そこには先客がいた。 あの日、私に告白してくれた彼だ。 雨音:「…何、してるの?」 声を掛けると彼はゆっくりと私をみてとても悲しく笑った。 「これを、壊そうと思ってな」 彼が持っていたのは儀式に使った遺品だった。 遺品を壊せば死人は再び死ぬ、それがこの儀式を解く方法なのだ。 それを彼も思い出したのだろう。 「これが壊れれば、皆もとに戻るんだよ…」 雨音:「うん…」 つまり、壊せば私が死ぬ。 同じことを考えていたんだね。 雨音:「…私が壊すよ」 雨音:「…思い出したの、本当は私が…」 雨音:「………死んでるの」 私の話を彼は静かに聞いてくれた。 「…そうか」 悲しそうに頷いた。
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