第1章

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雨音:「…だから私が壊すよ」 彼に、皆に迷惑はかけられない。 これ以上罪を着せたくない。 怖くないわけがないが、私がやらなければいけない。 皆は一体どんな思いで私を甦らせたのだろう。 せっかく甦ったのに、こんな結果になってごめんなさい。 思うことはたくさんあったけど、もう終わりだ。 …決心が、鈍ってしまう…。 「…一緒に、壊そう」 彼のその一言が、断れなかった。 断らなきゃいけないのに、今にも泣いてしまいそうで、断れなかった。 2人で同じ石を持って遺品を壊そうとする。 だけど、私は違和感を感じていた。 彼がどうして一緒に、何て言ったのだろう。 なんでこんなにすんなりと壊そうとしているのか。 私は怖くなっていた。 「大丈夫」 そういう彼が、あんまり優しく笑うから更に怖くなった。 雨音:「待って…」 まさか、が心を締め付ける。 思い出せ、私は死んだはずなんだ。 そんなはずはない。 だって私は車に退かれた筈なんだ。 だから、消えるのは私のはずだ。 泣き出した私の声は震えていた。 雨音:「…誰が、死ぬの…?」 振り上げた腕を下ろしながら彼は答えた。 「…俺だよ」 雨音:「っ!!」 ーーー 私に向かって突っ込んでくる車に、私は動けずにいた。 理解も追い付かないまま私は死ぬと思った。 その時、私は突き飛ばされ丘の上を転がった。 咄嗟に車が走っていたところを見て私は愕然とした。 そこには動かなくなった血まみれの彼が横たわっていた。 駆け寄っても、既に息はなく、病院で死亡が確認された。 ーーー 雨音:「…それじゃ…」 私じゃなく、彼が消えるということ。 ぼろぼろ泣きながら彼の名前を何度も呼んだ。 繋いだ彼の手の温度。 今にも消えてしまいそうな彼。 その笑顔が、辛かった。 そしてふとあの告白を思い出した。
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